金融庁が「外貨建一時払保険」、「仕組預金」に対して注意喚起しています。

お金の話し

金融庁が「リスク性金融商品の販売会社等による 顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果 (2023事務年度中間報告)」を発表しています。

そもそも金融庁の役割は以下の通りです。

1)金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、(2)利用者保護/利用者利便、(3)市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じて、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指すことを目標とし、金融行政に取り組んでいます。

https://www.fsa.go.jp/

「国民の厚生の増大を目指す」というところからも、資産を金融期間に預けたり、運用を依頼する国民の味方です。少なくとも金融機関の味方ではないはずです。その金融庁が、「外貨建一時払保険」と「仕組預金」の販売・管理態勢等が不適切と金融庁が指摘しています。モニタリング先は、地域銀行グループ13先、主要行等6行、保険会社8社です。
「外貨建一時払保険」、「仕組預金」について、大まかな評価は以下の通りです。
①リスク・リターンの検証が、重点モニタリング先で実施されていない。
②顧客の最善の利益追求に資する商品導入の判断、商品性の事後検証と見直し・廃止が、重点モニタリング先で実施されていない 。
③顧客の属性に応じた販売が、重点モニタリング先で知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念がある顧客に行われている。
④他のリスク性金融商品との比較説明が、 重点モニタリング先で適切に実施されていない 。

などなど、散々な評価です。そもそも外貨建の保険は仕組みを理解するのが、とても難しいです。「売ってる人もちゃんと理解しているのかなー?」って思うくらい難しい上に複雑です。
「外貨建一時払保険」「仕組預金」については、パフォーマンスが先進国債権の投資信託と比較して劣後していると評価されています。ということはパフォーマンスに関しては、先進国債権のインデックスに連動するインデックスファンドを持っていた方がパフォーマンスが良かった、ということになります。先進国債権のインデックスファンドなら、eMAXIS Slim先進国債権(信託報酬0.154%)など、信託報酬格安のインデックスファンドが各社から発売されています。
ターゲット型の保険は顧客の目標値に達すると解約され、同一商品を同一顧客に購入させ、購入手数料を二重に取る事例も多発しているそうです。顧客に対しては、目標値に達する前に顧客に説明し、無償で目標値の引き上げ等のアドバイスをするなり顧客のフォローアップするべき、と評価されています。要は、「顧客が手数料を払って購入した保険の目標値を引き上げれば、保険を解約することなく保有することができ、顧客の利益になる可能性がある。しかし、金融機関は目標値になると解約し、同じ商品を売りつけて、手数料を二重にとっている」ということだと思います。
また、顧客の多くが「元本が毀損するとは聞いていない」など、そもそも顧客に知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念があった、とも評価されています。要は「ルールをよく分かってない顧客に売った」ということだと思います。

このような商品を、多くの人は購入したくないと思うはずです。しかし、実際にはこのような保険商品や仕組み預金は保険会社や、金融機関から売り出されています。「国民の厚生の増大を目指す」役割の金融庁が注意喚起をしているということは、上記の商品は国民にとって不利な商品であることを示唆しています。逆に言えば、金融機関が有利で儲かる商品ということになります。国の機関から警告されている商品を、儲からなかったら売るはずがありません。金融機関に資産運用の相談に行くと、このような商品を提示されるかもしれないので注意が必要です。
ショッピングモール等に併設されている、「無料の保険相談」も注意が必要だと思います。「無料の保険相談」の相談自体は無料ですが、相談に乗ってくれる人の人件費や給料、テナントの賃貸料、顧客データの保管に使うデータベースやパソコンなどの備品などなど…、そのお金はどこから出ているか?というと、無料相談で紹介される保険会社からお金が出ていると考えるのが普通です。そう考えると、「無料の保険相談」で本当に顧客にとって必要な商品が提示されるでしょうか?おそらく、顧客に必要な商品ではなく、保険会社や、金融機関が「売りたい商品」が顧客に提示されると思います。実際に「無料の保険相談」の前を通ると、外貨建の保険のパンフレットが多く陳列されています。注意が必要だと思います。
過去にも、金融庁からは、バイナリーオプション、レバレッジ型ETF、ファンドラップ、暗号資産について、注意喚起を出しています。このような商品は普通の人は、知らなくてよい商品だと思っていますし、波乗りうーたんも詳しくは知りません。
そもそも金融機関が売りたい商品は、「手数料が取れて、儲かる商品」。顧客が欲しい商品は「手数料がなるべく低い商品」。ここにギャップが生じているので、金融機関や保険会社が積極的に売ってくる商品は全体的に注意が必要だと思っています。

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